今回のコラムは今の日本で一番の関心事であり又、日本の国益にも直接関係有る問題
についてお話したいと思います。

この問題を提起するに当たっては多くの日本人の人から批判をされる事もあるでしょう
し、我が郷里の英雄安倍晋三さんの政策にも心ならずも異を唱えるかもしれませんが
小生流の海外から見た日本の国益について率直に意見したいと考えます。

2003年のコラムは衆議院選挙を境に一旦終了させて頂きました。それと言うのも
小生が期待した選挙結果や選挙後の日本の政治体制に変化が無かった為、一時的な
失望感と諦めが小生にコラムを書き続ける自信を喪失させたのかも知れません。

2003年の年末より下関日和庵改築計画の打ち合わせの為、日本に帰国致しました。
久しぶりの日本のお正月を日本の我が家で家族と過ごす事が出来、改めて日本の
伝統文化に基いた正月行事をこなす事が出来ました。
しかしながらメディアから
流れてくるニュースは以前と変わらぬものばかりで元気が売り物の日本民族の姿は
どこにも垣間見る事が出来ませんでした。
それとは対照に日本が開発援助した
国々からは快進撃のラッパが高々と鳴り響いてきております。

 さて、そろそろ日本の国益について小生の話を進めたいと思います。
以前から小生のコラムにおいて日本の国益や世界の国益について何度かテーマに
上げてきましたが、今回は北朝鮮とイラクの問題についてお話しします。

日本に帰って読む新聞や毎日否応なしに目にするテレビ報道の殆どがこの問題を大きく
扱っています。

しかしながらその問題の解決法には日本の国内では大きく2つの意見に分かれると
言えるでしょう。

小生の意見はそのうちの少数意見に属するかもしれませんが、まず北朝鮮について
お話しいたしますと日本国内の世論の多くが「拉致被害者の会」の方達の意見に
沿った考え方をしているように思います。

 思えば2年前に小泉首相がはじめて北朝鮮を訪れ、日朝国交正常化交渉の第一歩を
踏み出しました。

その事は戦後60年も経つと言うのにまだ国交正常化していない国がこの世界にあった
のだという事を再認識する出来事でもありました。

その交渉の場で初めて北朝鮮は日本人拉致というものを認め、謝罪いたしました。
この事は一国の国家元首が自分の国の過ちを正式に認めると言う画期的な出来事
だったといえるでしょう。

日本は今、北朝鮮による日本人拉致の問題で大きく揺れ動いております。
その時小生は歴史をさかのぼる事、数百年に渡って日本を見つめなおしてみました。
豊臣秀吉が朝鮮出兵し、多くの朝鮮技術者を拉致し日本に連れ帰った事。
その事によって日本の陶器をはじめとする多くの文明が日本にもたらされた事。
そして明治、大正、昭和の初期に多くの朝鮮民族が日本に強制的に連れて来られた事。
その事によって日本近代化の労力の一部として使われた事。
従軍慰安婦として日本に強制的に連れて来られた人達。
小生がこの事はある種の日本人による朝鮮人の拉致事件と考えるのは間違いでしょうか?
しかしながらこの全ての問題について日本国政府は明確な答えや謝罪、
保証は一切行ってないのが現状です。

一体わが国の国民は歴史と言うものを何故再認識すると同時に理解しようとしないので
しょうか。









本来ならば日本が敗戦した時に片付いていなければ成らない問題が
60年経った
今もまだ尾を引いているという事は日本国民の国民性を物語る一つといえるでしょう。

過去の過ちを素直に認め、前進をしようとする姿勢があるからこそ交渉と言うものが
まとまると言えるでしょう。

小生が思うに日本が日本人拉致の問題を提起するのであれば北朝鮮が今までの
日本人が行ってきた朝鮮人の拉致問題を提起してくるのは当然の事です。

現在北朝鮮はその問題には触れず、単に小泉首相が金正日首席と交わした交渉を
確実に履行するかどうかに掛かっていると言えるでしょう。

国のトップ同士が交わした交渉事は絶対に守られなければいけません。
小泉首相はその時何が話し合われたかはもう一度再確認するべきだと考えます。
勿論その時同席した安倍幹事長も同じ事が言えるでしょう。
国家間の交渉は感情で進めては前には進んで行かないでしょう。
日本の役人のトップとして田中審議官が活躍した事は皆様もご存知の事と思います。
しかしながら彼は今やこの問題の悪役の一人にされてしまいました。

小生が考える両国間の国益に基いた行動とはまず日本が拉致被害者5人を日本に
連れ帰るときに北朝鮮と約束した事を履行する事です。

北朝鮮といえども全世界に認めた生存拉致被害者を今後更に拉致し続けるとは
考えられないからです。

そこでもう一度両首脳が同じテーブルの上に付き北朝鮮との国交正常化及び平和条約の
交渉にあたって欲しいと思います。

今の北朝鮮にとって一番頼りにしているのが日本といえるでしょう。
その頼りにされている時にこそ正常化交渉のチャンスと言えるでしょう。
経済が発展した国にODAを湯水のごとく送り続ける余裕があるのであれば
今一番日本にとって脅威といわれている北朝鮮に戦後賠償金を支払い、国交正常化を
図るべきです。

国交が正常化されるという事は、それぞれの国に大使館が置かれることになり、
日本人の旅行者も自由に北朝鮮を訪れる事になります。
そして、その事は現在消息不明の拉致被害者と疑われる人たちの消息を家族本人が
現地に行って確認することも出来る事になります。

又、中国との間で行っているように残留孤児帰国事業にもつながってくるといえるものです。
まずは国交を正常化する事です。
歴史をもう一度さかのぼって考えてみて下さい。
日本が必用の無い戦争に突き進んで敗戦した事を・・・・・・
当時の日本の状況と今の北朝鮮の状況を重ね合わせてみたとき、今まさに行おうと
している政策が
63年前の太平洋戦争の勃発状況に似てきていると思いませんか?
当時の日本は資源や燃料に事欠き、それを他国からの輸入に依存しておりました。
その事を承知した上で自国の条件を押し付けるために全ての資源や燃料をストップした
国がありました
それが、小泉首相が世界で唯一の同盟国と謳っているアメリカ合衆国
でした。

その事により日本は勝てないと分かりつつもアメリカとの戦争に打って出たわけです。
歴史の過ちを繰り返してはいけません。
あの時日本に必用なものは一体何だったのでしょうか?
もしアメリカが日本に必用なものを提供していれば日本は何百万人の犠牲者を出す
事は無かったはずです
.
アメリカは自国の利益のみを追求する国だという事は歴史が物語っております。
しかしながら我々アジアの民族はお互いが助け合う事が重要でお互いの国益を
尊重する度量が必要といえるでしょう。

 今の北朝鮮に必用なものは一体何でしょうか?
その事を日本は充分に認識していながら新たな法案を次々に打ち出してきています。
その事が63年前の日本と同じ状況を作り出しているという事を現在の戦争を知らない
政治家が一体どこまで分かっているか?疑問といえます。

北朝鮮のしたたかな外交手段は充分に分かっている事と思います。
しかし現在の北朝鮮の国内事情を考えるとその事は日本にとってはオンザハンドと
言えるでしょう。

まずはお互い信頼関係を取り戻す所までよりを戻す事から始めて行く事です。
小生のコラムの題材になっている「窮鼠猫を噛む」と言うことが現実にならない前に。

 さて、第二の題材イラク問題についてお話します。
小生はこの問題について色々な観点からコラムに書いて参りました。
小生の願いもむなしくアメリカの参戦、未だかつて終っていない戦争。
大義名分の無いアメリカの占領政策。朋友アメリカの為に行う自衛隊の戦場派遣等
など・・・・・
小生には話したいことは山ほどあります。
小生が期待した衆議院の二大政党化も一行に進んでおらず、未だに一政党の独裁政治が
続いています。
この事は今後も日本が行う行為が大義名分の無い行為ととられても
仕方の無い事といえます。

小生も何度も声高に訴えつづけましたがもはやその声もトーンが下がりつつあります。
国民の世論もイラク派兵反対派と賛成派が同数になってきている現在小生が訴え続けて
きた事は段々葬り去られ様としている事に寂しさを感じます。

 そこで小生が今回イラク問題について提起したい事は日本の国益を考えたイラク問題
の最善策は現在自衛隊がイラクに展開している派兵を民間人に替える事です。

その民間人とは日本人では有りません。
現在イラク国内は失業者が満ち溢れ、その事がイラクの国状や治安の悪化を招いている
要因の一つと言えるでしょう。

日本国政府が本当にイラクの戦後復興を願って援助するのであれば第一にその事を
考えて行動に移す事が重要だと考えます。

日本の戦後復興は一体誰の手で行って来たのでしょうか?
それは紛れも無い日本人の手で行って来ました。
その結果日本はどの国にも占領される事無く、又干渉される事も無く戦後復興を
成し遂げ今や世界第二位の経済大国に成長した事は周知の事実です。

イラクもイラク人の手によって復興させる事が一番重要です。
その為に日本は一体何をすれば一番良いかをもっと日本国民を交えた討論を行った上
結論を出すべきだと考えます。

何故ならその復興資金は日本国民の一人一人の税金から拠出しているからです。

 小生が考えるイラク復興の資金の使い道とはまず現在のイラク国内において
復興請負人と言う職種を作り、イラク人
5千人を雇用する事です。
そしてその人たちを日本の富士山麓の自衛隊演習場においてそれぞれの分野に分かれ、
研修や技術習得を
6ヶ月間に渡り全寮制で行います。
そして6ヵ月後の終了時にそれぞれの分野に分かれてイラクに帰国させます。
彼らイラク人はイラク国内においてそれぞれの分野の指導者となり、新たな雇用を
発生させる事につながります。

雇用期間を含め雇用後も日本の防衛庁の臨時兵管轄になるわけですから現在自衛隊が
着用している制服を着用してもらいます。

彼らはイラクに帰国した後、日本政府から雇用された復興請負人となるわけです。
この事は日本の自衛隊の制服を着たイラク人によるイラク人の為の復興としてイラク
国内にて歓迎されると同時にイラクの失業対策にもつながります。

つまりこの事はイラク人に日本の文化や環境を的確に教えると同時に日本の技術を
習得させた上で日本がイラクに持ち込む機材を確実にイラク人の手によって作動させる事
が出来、今自衛隊がイラクで行っている事をイラク人が自分達の手で確実に行うこと
になるわけです。











このように日本が平和目的に行う国際事業としては色々なやり方があると思います。
現在の政府のように物事を早急に解決しようとする姿勢は決してよい結果を生むもの
ではありません。

しかし、その様な政府を黙って見ている国民の一人一人の姿勢こそ多いに問題があると
思います。

皆様には選挙権と言う天下の宝刀を握っていながら決して使おうとしないその事が、
日本の政治の現状に表れていると思います。
来るべき参議員の選挙が行われる
ときに勇気をふるって天下の宝刀を振り下ろしてみてはいかがでしょうか。

日海

 

 

 

 

 

 

 

 

2004年第一回コラム「窮鼠猫をかむ